鍼灸の専門学校のクラスメイトをはじめ、同業者は、バックグラウンドも多彩です。医療関係者やスポーツトレーナーが多い印象ですが、スペイン語通訳、数学教師など意外な経歴の持ち主も少なくありません。
さて、私が語学教師や辞書の執筆など言葉を扱う仕事についていたことは、ときどきお話ししていますが、先日、ふと(マドレーヌを口にしたわけではないのですが)別の仕事の日々が鮮やかに蘇ってきました。
それは、パリコレの裏方です。当時、日本を代表するファッションデザイナーの会社に勤めていて、海外にそのブランドの商品を輸出する仕事をしていました。春夏と秋冬のコレクション時期になると、ATAカルネという特殊な通関書類の準備に追われていました。
これは、ショーや展示会で使うサンプル(洋服、小物などすべて)をパリに運び、終了後日本に持ち帰るのに必要な手続きで、サンプルと書類との間に不一致があれば、パリコレへの参加自体が不可能になる、という非常に重要で神経を使う仕事でした。コレクションの直前になると、全社的に多忙を極め、徹夜の連続も珍しくない状況でした。会社近くの薬局に、ユンケルなどの栄養ドリンクを求める社員が続々と訪れ、どれが一番効くかが大きな関心事でした。
若き日の遠い思い出です。