修業時代に、よく耳にした当時の院長の言葉です。
施術者として経験が浅い時期には、臨床の現場で使われる(=教科書的でない)経穴の組合せを知りたい!という欲求が強くなり、
「腰痛にはA、B、C」というように、症状とツボの名前をメモしがちです。
それを厳しく戒められました。
「書くと覚えないから」と。
確かに、今せっかく現実の患者さんとその腰痛、そして最適なツボの組合せに従って師匠が刺した鍼、という情報を直接目にしているのに、その一部(腰痛にはA、B、C)という文字情報しか残らない可能性があります。
それよりも、今目にしている「画像」を記憶しておけば、患者さんのタイプ、腰痛の部位・種類、をはじめ、鍼の角度や深さ、手順など、たくさんの情報が身につきます。
私は、子供の頃から、教科書や資料などを見た通りに記憶するタイプだったので、この方法が合っていました。こうして、私の記憶装置に蓄積された情報のおかげで、現在も仕事ができています。
記録より、記憶です!
経穴の名称には、同音異義が少なからずあるので、間違いを避けるためにも重要な指導法だと思っています。
(例:しょうかい→照海、小海、少海|きもん→箕門、期門、気門など)